新型コロナウイルスのワクチン開発が望まれる中、治療薬として期待されている「レムデシビル」が特例承認されることがほぼ決まったようだ。
「レムデシビル」はアメリカのギリアド・サイエンシズというカリフォルニア州に本社を置く世界第2位のバイオ製薬会社が開発した商品で、HIV、B型肝炎、C型肝炎、インフルエンザ等の感染症治療の抗ウイルス開発を事業の柱としている。申請からわずか3日というスピード承認と「タミフル」もギリアドが世界独占特許を持っているというから驚きだ。
先月末には、ギリアドの抗ウイルス治験薬「レムデシビル」が新型コロナウイルスに有効性を示さなかったという発表があったばかりだけど、今月に入って特例承認という形で国内でも初めてとなる治療薬承認される見通し。
特例承認とは?(緊急使用許可)
石田純一氏の発言で認知の広まった「アビガン」は、コロナウイルスの軽度感染者に対して投与されるのに対し、「レムデシビル」は重度の感染者に対して投与されることになる。
緊急時に審査を簡略化する「特例承認」というのは、
(1)国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病のまん延その他の健康被害の拡大を防止するため緊急に使用されることが必要な医薬品であり、かつ、当該医薬品の使用以外に適当な方法がない
(2)その用途に関し、外国(医薬品の品質、有効性及び安全性を確保する上で本邦と同等の水準にあると認められる医薬品の製造販売の承認の制度又はこれに相当する制度を有している国として政令で定めるものに限る)において、販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で貯蔵し、若しくは陳列することが認められている医薬品である
と定められている。
2番に明記されている「承認制度が日本と同等の水準国とされているのは、アメリカ、イギリス、カナダ、ドイツ、フランスの5か国となっている。
元々「レムデシビル」は、エボラ出血熱の治療薬として開発が進められていたもので、治験データをもとに安全性や有効性が議論され、新型コロナウイルス感染者への効果があるとして特例承認されることになったのだ。
特例承認を受けたからといって正式承認されたわけではなく、今後も並行して臨床試験でさらなる有効性と安全性を高め研究を進めていくことになる。
レムデシビルの副作用
気になるのは「レムデシビル」の”副作用”だけど、 エボラ出血熱の臨床実験のときには
・肝機能障害
・下痢
・皮疹
・腎機能障害
などの副作用がみられ
「レムデシビル」の重篤な副作用として
・多機能不全
・敗血症性ショック
・急性腎障害
・低血圧
が報告されている。
「新型コロナウイルス」の治療薬として「レムデシビル」の有効性が認められなかったという中国のレポートや、重症患者の症状は改善が見られるものの死亡率には変化がなかったという報告もある。
実際に使ってみないとわからないところもあるのだろうけど、ウイルスの増殖を抑える役割と、症状を改善する効果に期待したいところだね。
日本への導入は、5月中になると言われているけど、ギリアド社によると2020年10月までに50万人分、12月までに100万人分の生産量を目標としていると発表している。
「新型コロナウイルス」の特効薬がないから喜ばしいことではあるけど、1点気になることと言えば、「タミフル」もスピード承認された薬(通常より)で異常行動などが問題になっていて、「レムデシビル」は生命維持に重大な障害を及ぼす重篤な多機能不全なども含まれているから、使用に際しどのような基準が設けられているのかも知りたいところ。。。
現在までの感染者数、死亡者数からすると欧米への分配が優先されることが考えられるから、まずが初期症状の段階で「アビガン」を投与していくことになるのだろうね。