10年前、仕事も順調で絶好調だった12月のある日、大量の血便でトイレが血の海 (体験記-1) となった。
翌日、青ざめながらヒーコラヒーコラ病院に向かったことは今でも覚えているけど、大量の血便は、秋頃に予約したイギリス旅行をすっかり忘れてしまうほどの衝撃だった。
私も妻も混雑が苦手だから、年末年始に海外で過ごすということは過去に計画もしたことがなかったけど、この年は、初めてのイギリス旅行を計画。共働きで収入も良くなって、時間があるのは年末年始くらいだしね。
イギリスを選んだ理由は、
お互いヨーロッパに行ったことがなかったので、まずは英語の通じるイギリスに行ってみようと思ったのがきっかけ。こんなトイレの近い病気になることがわかっていたら、旅行計画など立てていないけど。。。(TwT。)
とりあえず病院の先生に海外旅行に行っても大丈夫か確認をしてみたら
「大丈夫と思いますよ」
との返事。
体調は最悪期と言っても過言ではなかったけど、旅行代金も振り込んでいたし、せっかくなので行くことにした。
潰瘍性大腸炎用の薬とトイレットペーパーのロール、替え下着を多めに持って、
いざ、出発!!
移動中の飛行機では、思っていたよりも安定していて、往復それぞれ1~2回程度ですんだ。。。
機内で食事をしたかどうかは覚えていない m(__)m
滞在中は、主にロンドンのトイレ、国会議事堂として使われているビッグ・ベンや、貴重な品々が展示されている大英博物館、バッキンガム宮殿、ロンドン塔を見学。
イギリス人に怒られそうだけど、
自分の病気が病気だけに「ビッグ・ベン」という名前に思わず苦笑い。
体調は悪くても、お腹は空くものだから困ったものだ。
ランチも多くは食べないけれど、食べたら観光よりもトイレ。
歩いていてもトイレの場所を確認しながら移動した。デパートなどが近くにあれば問題ないけど、個人店の並ぶストリートでは、カフェなどに入るしかなかった。
ロンドンにある有名なデパートでは
例の ” しぶり ” に襲われ、目の色変えてトイレに駆け込むと、なんと「大」の大行列。。。
Σ( ̄ロ ̄lll) ガビーン
ランチタイムでもないのに、なんで???
自分の前にはたしか3~4人くらい、その後も続々と後ろに並んでいくから不思議だ。トイレが少ないのかな?それともデパートの食べ物にあたったのか?
潰瘍性大腸炎は欧米に多いと言われているけど、胃腸の弱い人が多いのか?
「う~、早くしてくれ。。。」
と心で叫びながら待っていると、後ろからイギリス人の親子が
「すみません、子供を先に行かせてもらってもいいですか?」
と聞いてきた。。。
うぎょっ!?
そりゃないぜ、オイラは潰瘍性大腸炎なんだぜ。
病気でなかったら大人の対応ができたかもしれないが・・・
英語で病名を伝えられればいいけど、調べていくのを忘れてしまった。
ちなみに英語では「 Ulcerative colitis 」と言うらしいから、英語圏に行く人はメモしておくといいかも。日本では「潰瘍性大腸炎」と言っても、まだ認知が低いから理解してもらえないだろうけど、欧米ならわかってもらえるかもしれない。(普通の電子辞書では、検索しても出てこないからね)
とりあえず
「ごめんなさい、お腹の病気なので。。。」
のようなニュアンスを英語で伝えると、お父さんが苦い顔をしていた。
潰瘍性大腸炎は、とにかく待つことができないのだ。並んでいるとオナラと一緒に膿やら粘液、血便が出てきてしまう。
ガマンをするから、音が出る。。。
トイレ待ちで、前後にイギリス人に挟まれながら「ブハブハ」することを想像してみてほしい。
たまらんよ~。。。(x_x;)
夜は外食をせず、テイクアウトをしてホテルで食べた記憶しかない。これも楽しさ半減だよな~。
やっぱり地ビールでも飲みながら、食べたいよね。
出発前は、病気のこともあってレストランを調べる気力もなく、ランチは歩きながら見つけた店に入っていた。そのおかげもあって、ほとんどがハズレ。わぉ。(苦笑)
そして海外で年末年始を過ごす大イベントと言えば・・・
カウントダウン花火!!!
「やっほー、たのしみ~」
のはずだった。
当然、ロンドンはカウントダウン花火で大賑わいとなる。夜11時も過ぎると、奇声を発する人や大声で何かを呼ぶ声なども聞こえてくる。どこから集まってきたのか、街は多くの人でいっぱいだ。
カウントダウン花火はチケット制。
購入はしていないけど、大混雑の中を歩くことできるのか???
トイレは?
テレビをつけると、ロンドンアイやビッグ・ベンが映しだされていて、どうみても、どう考えても潰瘍性大腸炎患者は行かない方が身のためだ。あの動きの取れない人混みに入ってしまったら、ぶっとびそうだ。
わざわざ年末年始に海外に出かけて、カウントダウン花火はテレビで観賞かよ。。。
まぁ、これも仕方がない。
残念だったことは
1.観光を楽しめない
2.食事が楽しめない
3.カウントダウン花火をテレビで観賞
正直、なにか楽しめたか?
と聞かれたら首をかしげてしまうけど、潰瘍性大腸炎でも海外旅行に行けないことはない。。。と感じた。
ただ初めていく国は、観光もしたくなるし、おすすめはできない。
一番いいのは、わざわざ海外に行かないことだな。特に年末年始。(笑)
それでも海外に行きたいのであれば、以前に訪れたことのある国やのんびりできるビーチリゾートにした方がいいと思う。
それとランチは、時間をずらして食べること。これは海外に限らず、国内でも大事なことかもね。
旅行中は何度となくイギリスのトイレボックスに座って力(りき)んでいたものだが、
この旅ではいろいろと考えさせられた。。。
職場でのストレスは、限界を超えていて上司とも一触即発の状態が続いていたこともある。
「仕事辞めようっかなぁ」
年収は自分だけで1200万を優に超えていて、辞めたら収入は激減する。病気も治るとは限らない。。。
お金をたくさん得ることで、学べたこともある。使い方によっては、可能性が拡がることも確かだ。
潰瘍性大腸炎の原因はわかっていないけれど、ストレスが身体に大きな影響を及ぼしていることは間違いない。
このまま仕事を続けるのも不安、辞めるのも不安。。。
でも健康が一番かな
新年となり、仕事が始まった。
カバンには病院の診断書と退職願。
あとはいつ渡すかだけだ。
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