その日は突然訪れた。
自宅で晩御飯を食べたあと急にお腹が痛くなり、下痢にも似た症状が腹部に走りトイレに駆け込んだ。。。
「下痢にも似た症状」と書いたのは、初めてのことだったこともあり、その時は違いに気づかなかったから。
10年前に発症した「潰瘍性大腸炎」。日本人には少ないと言われていたけど、ここ最近は急速に患者が増えていて、厚生労働省により難病指定もされている非常にやっかいな病気。
潰瘍性大腸炎の主な症状としては、血便、粘血便、下痢、腹痛で、ひどくなると体重減少や貧血、発熱がみられる。
個人差はあるけど、下痢は肛門に力を入れれば、なんとか5分~10分は耐えることができるよね?
潰瘍性大腸炎は、お腹の力が奪われるので、肛門に力が入らず、パッキンの緩んだ蛇口状態。そのため30秒~数分で限界となり、100m10秒台の勢いでトイレに直行。ガマンはムリ、無理、無理。
この時は、自宅だったので助かりました。
「ふぅ~、間に合ったぁ」
と安心するのもつかの間。
おしりを拭くとヌルッとしたイヤな感触があり、ペーパーをみると大量の血とゼリーのようなヌメリが目に飛び込んできた。
このドロッとしたヌメリが粘血便と呼ばれるもので潰瘍性大腸炎の特徴でもある。トイレの水は絵の具を入れたかのように真っ赤っか。
「なんかやばい病気かっ?!」
変な汗が出ると同時に目の前が暗くなっていく。
血が大量に出たことによる貧血だったのかもしれないけど、当時は潰瘍性大腸炎やクローン病を知らなかったから、単純に
「ガンかも・・・」
と思いながら、次の日、病院に向かうことになった。
能天気なオイラでも足取り重く、周りの景色はグレー色。
ストレスを多くかかえていた時期で、30代後半の大量下血は、マジで焦った。
病院では先生に状況の説明をして、その後に採血、内視鏡の検査予約をしたように記憶している。
内視鏡検査は、おしりからカメラを入れるから前日から食事制限が始まり、検査当日は胃や腸をカラッポにするために下剤を混ぜた2リットル程度の水を決められた時間内に飲み干すのだ。
味はポカリスウェットの糖分を無くしたような塩分高めの味付けで、1リットルも飲むとなかなか喉を通らない。しばらくするとトイレが近くなり、水の便がドドッーと出てくるのだ。便が透明になってきたらOK。
あとは検査台に横になって肛門から内視鏡を入れられて、医者がモニターを見ながら確認。おおよそ20分で終了。無事検査も終わると、画面を見ながら説明をしてくれる。
オイラの場合、
「潰瘍性大腸炎だと思います」
と、その場で病名も教えてくれた。
検査結果が出ていないので、詳細は後日となったけど、初めて潰瘍性大腸炎という病名を聞いたこともあり、それほど大変な病気にも思えず、正直、腸が炎症を起こした程度で少し休めば治るだろうと考えていた。
不思議なもので、診察が終わり病院から歩いて駅に向かった日のことは覚えている。
ガンでないとわかり、気分もよく帰宅。営業マンのオイラには、過酷な日々が待っていることも知らずに・・・。
「うー、トイレ」
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つづく。